奴隷職人から作り出されたシンデレラリング?

では最後にこんな指輪を紹介しましょう、こちらはアイルランド共和国に伝わる伝統工芸品の一つとして用いられている指輪となっており、日本でも知る人ぞ知るアクセサリーとなっています。このアクセサリーもなかなか凝っているデザインとなっており、こちらは指輪を付ける向きやどの指に付けるかで意味が異なってくるといったような意味合いが込められています。

このクラダリングがその知名度を広げることになった理由としては、当時このリングがまだ作られてからそれほど日も経っていないときにアイルランドを訪れていたスウェーデン初の女性王位継承者でもあったヴィクトリア皇女が身につけたことがきっかけとなり、世界中にその名を広めることとなりました。その後アイルランド国内やアイルランド系アメリカ人の間ではポピュラーなアクセサリーとなっており、ハリウッド映画にも登場することもあるほどヨーロッパにおいては女性にとって非常に馴染みのあるアクセサリーとなっています。

クラダリングの由来

このクラダリングにも誕生することとなった由来というものがありますが、実際にどのような経緯で作られるようになったのかはいまだに解明されていないこともあって、諸説存在しています。どのようなものがあるのか、一部を取り上げてみていくことにしましょう。

ケルトの森説
最もクラダリングの歴史として有力なものとして考えられているのが『ケルトの森説』が濃厚であると言われています。どのような歴史があるのかというと、それは中世期においてリチャード・ジョイスと呼ばれていた男性が存在していたことから始まります。彼はアルジェリア人に奴隷として捕まってしまい、その後ムーリッシュ・ゴールドスミスに売られてしまったことで、そこで職人として修行することとなります。奴隷としては破格の待遇ではないだろうかと思います、そしてムーリッシュもリチャード本人を気に入っていた可能性もあります。その証拠としては、ウィリアム3世の力によってそれまで奴隷として働かされていた人々は解放されることとなり、この時ムーリッシュは自身の娘と財産を半分渡すからという条件を付けて残って欲しいと嘆願してきたそうです。しかしその申し出を全て断り、リチャードは生まれ故郷であるゴールドウェイへと戻って行きます。無事に帰郷することが出来たリチャードはその後自身の妹が結婚をすることになったので、職人として培ってきた技術を用いて作り出した記念品が、現在におけるクラダリングであると言われています。
神話説
もう一つの説として語られているのが神話説となっていますが、内容的には神話というような大層な話ではないかもしれません。どういう話かというと、昔このアイルランドのとある地域にマーガレット・ジョイスという名の女性が存在しており、この女性はある時スペイン人の男性と結婚することになります。しかし幸せは長続きすることなく、夫は結婚してまもなく志望してしまい、マーガレットは結婚して間もないのに未亡人となってしまいました。この時夫が残した莫大な財産を手にして故郷に戻ると、その地で街の市町を勤めていた男性と再婚しその後前夫の残した財産を元手にして基金を作り、コナーと週に橋を次々と建設していきました。こうした慈悲深い行為に対して神が見定めて、使いとして鷲を遣わして空から彼女の膝の上にクラダリング落としたことから、そのリングの伝説が始まった、とも言われています。

世界中で愛されているリングの一つとして

由来に関してはともかくとして、現在においてはアイルランドではもちろんですが、日本を含めた世界各国で非常に高い人気を誇っています。国によって生成方法というものは異なってくると思いますが、基本的には『アイルランド製』であり、『手と王冠とハートのデザイン』が取り入れられていることがクラダリングの世界共通の特徴となっています。このデザインにはそれぞれ意味を持っていま、王冠には『忠誠』、ハートには『愛』、手には『博愛や友情』といった思いが込められています。

こうした指輪の特性もあるためか女性に対してはもちろんですが、こうした意味などから男性において非常に政治的立場として活動している人達にとっても受けのいいものとなっています。現在でこそ著名人の人々にも親しまれている指輪となっていますが、ヴィクトリア王女がつけたことでそこから一気に女性を中心として、欧米諸国に在住しているセレブ達に人気のある品となっています。それまでは庶民の間で非常にポピュラーな商品として有名だった指輪だっただけに、ここまで人気を獲得することが出来たのはある意味で成功を招き寄せることに成功したと、そう見なしていいかもしれません。

始まりこそ奴隷職人が妹のために作り上げたことでクラダリングは生まれることになったなど、いわれる事はありますがそれがまさかここまで世界的な人気を獲得することになるなどと、作成した人間としても予想する事はできなかったかもしれません、そんな現在におけるアイルランドで作られているクラダリングのデザインとしては、『両手で王冠を被せられたハートを持っている』ものが最もオーソドックスなデザインとして利用されています。

職人によって微妙なバランスなどの問題もあるので好き嫌いという問題が生じるかもしれませんが、それに関しては自分の好みで選択して好きなものを購入すればいいかもしれません。そしてここでも共通して言える事は、このクラダリングもやはり儀礼的な意味を内包しているものであることに変わりないでしょう。

世の中には様々な指輪が存在していますが、そのどれもが儀礼的な意味を内包している指輪として利用されています。そういう点で考えながら、改めにて指輪に対する思いとを言うものを再確認して見るのもいいかもしれません。