天使と悪魔を支配下に置くことが出来る万能の指輪

ソロモンが人でありながら神と対話する、というのは今の時代においてもどこぞの新興宗教で用いられている謳い文句として利用されているところもありますが、その他にもソロモンは自在に神の使いである天使と地獄の死者である悪魔を自在に制御できたとも言われています。こうした事実からオカルト的にソロモンという存在は魔術師として表現している文献も存在しています。たかだか人間でしかないソロモンがどうして天使や悪魔を使役することが出来たのだろうと疑問に思う人もいるかも知れません。それこそ、今回のテーマの一つとして語っている指輪に絡んでくる、かつてソロモンが所持していたことから『ソロモンの指輪』と呼ばれる指輪の存在へと繋がって行くことになります。

ソロモンの指輪というものはオカルトが好きな人にとっては御馴染みのネタですね、ということでこちらソロモンの指輪について話をしていきましょう。

ソロモンの指輪を手に入れることになったきっかけ

ソロモンがこの指輪を手に入れるようになったのは、彼がエルサレムを建設中のことです。神殿の建設が思うようにいかなかったこともあって悩んでいるときに、ソロモン王はモリヤ山の高く突き出た岩に上って、神であるヤハウェに祈っていました。すると突然、まばゆい光と共にエメラルドの翼を持った大天使ミカエルが現れ、黄金に輝く指輪に差し出して次のような言葉を述べました。

受け取るがよい、王にしてダビデの子なるソロモンよ。主なる神、いと高きゼバオトが汝にくだされた賜物を。これによって、汝は地上の悪霊を男女とともにことごとく封じるであろう。またこれの助けによって、汝はエルサレムを建てあげるであろう。だが、汝はこの神の印章を常に身に帯びねばならぬぞ

こうしてソロモンは指輪を手にすることとなり、宿っている力によって多数の天使や悪魔を使役して神殿を建設することになりました。良き魔神を使役する場合は真鍮の部位を、悪き魔神を使役する場合には鉄の部位を投げ当て、呪文を唱えるといかなる魔神も強敵的に従わせることが出来たとも言われています。

しかしこうした事実に関しては後の時代に表記されている『レメゲトン』にあるような、悪霊を使役したとするような記載に関しては旧約聖書には見られることがないとも言われています。

意外と臆病なソロモン王

こうして手に入れた指輪のおかげで天使と悪魔を使役することはおろか、植物と会話ができるということも可能になったソロモン王ですが、そんな彼にも懸念事項というものがありました。天使ならともかく、悪魔たちは自分たちが使役されているということに我慢ならなかったのです。それもそのはずです、悪魔とは本来人間よりも上位の存在としてあがめられている存在に他なりません、それを突然神から授けられた指輪の力に屈服されているからといって人間にこき使われているなどと悪魔たちにとって屈辱と侮辱に等しい行いだったのです。

しかしそれはソロモン王自身もよく理解していたのか、彼はいつか来るかもしれない悪魔たちの報復を内心恐れていたのです。悪魔を敵に回すとなったらそれこそ人間の非力な力など圧倒されて蹂躙されてしまうのがオチなのは日を見るまでも無いでしょう。そんな悪魔たちから身を守るためにソロモンが取った行動は、悪魔たちを壺の中に封印するということだったのです。こうして制裁を未然に防ぐことに成功したソロモンは封印した壺を人知れずにこっそりと埋めて、全てなかったことにしたのです。これでもう安心だと、そう思っていましたが埋めているものを見つけるのは人間にとって非常に簡単なことです。

誰かも知らない人間が、たまたま目撃していたのです。あのイスラエルの王でありどんな知識も保有していると称されるソロモン王が人知れず何かを埋めていたところを目撃した、この時点で人間の好奇心というものは駆り立てられるものです。そうしてソロモンが封印していた壺はあっさりと緋の目を見る状態に戻ってしまい、何も知らないままでその封印を解いてしまった人間たちが見たものは無理やり封印されたことに対しても怒りというものでは表現できないような状態で解き放たれることとなりました、という感じです。

ただ封印を破られたとは言っても生前においてはソロモンは指輪がある限りよほどのことでもなければ自身の身に災いが降り注ぐことも無いでしょう。問題は死後、それこそソロモン王という存在が魂が肉体という老後を抜けだした後の死後の世界が一番怖いところだろう、王としても晩年になれば暴君として振る舞っており、またソロモンの指輪によって使役していた名の知れた悪魔たちを言い様に利用していたという事実、もはや彼にとって死後ほど恐ろしいものはないでしょう。もしかしたらソロモン王はそれまでの王として問題ある行動に加えて、さらに悪魔たちから怨まれていたことも考えると決して安寧な来世を迎えたとはとても考えられないでしょう。むしろ永劫地獄の業火に焼かれて苦しみ続けているだろうという想像の方が非常にしっくりと来ます。死後の世界だのあるかどうかも分からない価値観ですが、それでもソロモン王という存在が天国へと誘われたとは思えません。

ソロモン王の手に入れた指輪は動植物と話す事も出来て協力も行える、また天使や悪魔を使役することも可能としているソロモン王の指輪のおかげで一時代を築かれたと考えて問題ないと思いますが、ソロモンと呼ばれた古代の王はもしかしたら現在も地獄の底で絶え間ない苦しみを味わい続けているのかもしれません。